ドライアイとは
ドライアイは、涙の量が減少する、もしくはその量が十分であっても質が伴わないことで、角膜や結膜などの目の表面(上皮)が傷つきやすくなり、目の乾き、充血、目の中のゴロつきなど目に様々な不快な症状が現れる状態を言います。
なお、涙の量が減少するはずなのに逆に涙が大量に出ることがあります。しかしこの場合は質の伴わない涙であり、乾燥により目が過敏になったことで、反射的に出てしまうものです。
ドライアイには2つのタイプがあります。ひとつは涙の分泌量が減少するタイプで、もうひとつが涙の蒸発が亢進するタイプです。前者は女性の更年期障害の症状などでよくみられます。一方の後者は、ドライアイ患者の8割を占めるとされ、PC画面を見続けながらの長時間作業(VDT作業)の増加、スマートフォンの普及などにより、目を酷使する機会が増えたことが主な原因として挙げられています。そのほか、エアコンによる室内の乾燥、コンタクトレンズの長時間装用、ストレスの増加なども涙の蒸発が亢進するタイプです。
検査について
ドライアイを診断するには、主に3つの検査法があります。どの方法でも比較的短時間で済み、痛みなどは伴いません。
- シルマー試験
- 涙の量を調べる検査です。専用の細い濾紙(涙紙)を目の涙点上に挟んでまぶたを閉じ、5分間でどのくらいの長さ分の涙が染み込むかを調べます。
- 涙液層破壊時間(BUT:Break Up Time)検査
- 瞬きをせずに目を開けたままの状態で、涙の層がどのくらいの時間で壊れるかを、細隙灯顕微鏡を用いて観察・測定します。
- 生体染色検査
- 目の表面の状態を検査するには、フルオレセイン(黄色い染色液)の点眼により眼球表面を染め、スリットランプと呼ばれる顕微鏡を使って調べる方法がよく用いられます。角膜や結膜に傷や凹凸などがあると、その部分が染まって見えます。
治療について
治療にあたっては、目の乾燥を防ぐ必要があるので点眼薬を使用します。主に人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分の分泌を促進する点眼薬、ムチンを産生する点眼薬などを使用します。
これらの点眼薬で改善が見られない場合は、涙点プラグを使用します。これは、涙点と呼ばれる上下のまぶたの鼻側にそれぞれ1つずつある涙の排出口に栓(プラグ)を差し込むことで目に涙を溜め、ドライアイを治療(涙点プラグ挿入)する方法です。プラグは数分で挿入することができます。このほかにも重症の方を対象に行う血清点眼や、外科的に糸で縫合する涙点閉鎖術を行うこともあります。